FIREに火をつけて

リーダーズというオルタナバンドがとてもカッコいい。最近わかるようになった。ピクシーズの人たちらしいがピクシーズはほとんど聴いたことないのでどれだけかぶった存在かは判断できないが断言できるのは彼女らは特別にタイム感もいいし、ドラムも重たいんだけど思った半拍裏にアクセントがきていたり、コードチェンジも後ろめで、とにかくダラダラしている、というのがオルタナの醍醐味なのでは、と思う次第。歌詞のスコープも良い。

最近ライブでようやくギターやベースを歪ませることを覚え、自意識がやっと高校生くらいまで育ったのかもしれない。来年はバンプオブチキンのコピバンになってそうで怖い。バンドやっとる平野レミの息子はブリーダーズすげえ好きらしい。そんなところは彼の佇まいや音楽からはなにも、全然伝わらない、というのが芸能人であったりスターであったりする所以なのかも。歌はさすがにちょっと平野レミに声が似ている

 

とは思ったけれど夏のライブは全部鍵盤でやる予定、たぶん設計不良で壊れかけたローランドのシンセを思い切って買い足してチェーンモードにしたら見事に動機が不十分でいい感じにレゾナンスが暴走するようになった。のはいいけれど、買ったやつは使い物にならないくらいアウトが小さくて、ゲインを上げたらノイズがひどく載る。保証期間もまだまだ長いし、飽きるまでは使ってみたいと思うけれど、ローランドの品質が悪いのか、ハードの復刻シンセはDAW需要に特化してデカい音が想定されてないのか、とにかく心配ではある。ベリンガーは本当に落としても濡らしても元気ですごい、アカイもすごい丈夫

 

日本株はちょっと揉んで個人がしょげたところでこのまま上にいくと思う。今夏の展望としては、昨年度比業績15%ほどで来ている企業のそれが、単にコロナから戻ったのかそれとも稼ぎ方のギアが上がったからなのかを見抜くことが大事だと思う。低PBRのご祝儀相場はとうに終わっており、いま反応がないのはもう見捨てられてしまうのではないかとは思うものの、未だにサプライズがありそうなのはTBS、フジHD(テレビはオワコンだが資本を投下すればだし抜ける寡占の土壌がある、なのでサイバーエージェントの先行きは苦しいだろう)まだまだあがりが足りないのはリョービ、割安感で拾われて急に上がって揉まれている局面だけれども稼ぎ方が変わったのがまんだらけ、力の源HD、あと持ち合いで合理化が進んでいるほうの地銀はまだじゅうぶん拾えるのではないか。

それと資産株、現金潤沢な企業で、まだ目をつけられていないところは本業が時代遅れだったり恥ずかしかったりするものしか残っていないので、前者は東天紅、後者は現金ためこんでるザッパラスあたりが面白いのではないか。本業の魅力いまいちという意味では宝HDもいい。タカラバイオはコロナ明けて急速に利益がとれなくなっているがお荷物にはならないだろう。製造業は正直リスクだと思う。EV化というのは結局内部機関が単純化するということであって、加工で付加価値がとれるところが少なくなるだろう、半導体はJSRが国有化されることからわかるように素材から加工までの質が問われるので日本にまだまだ強みはあるから知名度低い地味な企業はまだ適当に買える。これはイビデンとか、単元がでかいから拾わないけれど。あと信用残が多くて機関に遊ばれてるQDレーザも黒字拡大の道筋が見えてきてそろそろよいだろう。これらは適当に持っておいて、米国の利下げが議論されるくらいの不況を迎えるまではホールドでいいんじゃないでしょうか

来年から新NISAが始まるからダサい子待ちサラリーマンが好みそうな銘柄を今年中に触っておいてもいいかもしれない、という感覚でNTTは買われすぎるだろうから、もっと国策系で配当高めな微妙なやつ、Jパワー、あと財閥系でバフェットがさわってないやつでQUOカードがもらえる系がいいと思うがそんなもの上がっても恥ずかしくなるのでパスで…テナントも持ってる倉庫系はいいと思う

エネルギー穀物高もそろそろ天井が見えてきたので食品系も逆張りでいけると思う。むしろコロナで体力のないところが廃業したところで残存者利益にうまみがあるだろう、コーヒーの石光商事、豆腐のやまみ、酒のカクヤスは良いと思う、カクヤスのトラックは都内では存在感が確実に増している

 

はてさて

 

誹り詰り無視

こちとら相変わらず金が無いうえに近所の居酒屋がつぶれそうだ。WBCは一部のバーを除いてステイホームだった模様。仕事帰りに寄る茶店でも普段大声で店主に政治論議をふっかけるジジイがずっと一方的に大谷クンの話をしていた。キューバが野球に熱心な理由がわかった

その茶店はやたら美術研究にイカれた学生も多くダルい、現代美術が終わったことをいまさら茶店で確認するんじゃないよ、シューカツ期にだけやたら流行するブレーンストーミングだか、なんとかシンキング同様こんな不毛な話はない、こんなことすんなら幽霊でも探しにいったほうがいい、そっちのほうがよほど物事の本質というものであろう

 

◯最近印象に残った映画

ペルシアン・レッスン

…ナチ物のアホ映画が好きな私に情けをかけて戸川が誘ってくれたんだけどもこれは傑作だった!ペルシア語が話せるとフカしてガス室送りを免れたユダヤ人の実話をもとにしており150分ひたすらに展開される人工言語生成がとてもスリリングなことのみならずドイツ将校らも微妙にはみ出し者というなかで偽ペルシア人に共犯の片棒を担がされ、種明かしもめちゃくちゃ感動するこれ以上ない最高の言語SFだった。よすぎて外出ても目がチカチカしたわいね。全てのことには理由があるという映画の特性を活かしきっており胸をすく

 

フェイブルマンズ

…日経レビュー以外の下馬評は良く、期待して観たもののはずれ。スピルバーグがこれで何が言いたいのかわからん。電気技師の父と芸術家の母のもとに生まれ、少々の不和はあれど彼の人生はひたすらに恵まれており、成長譚にもなっていなければ、特にターニングポイントもない。前半がよかったのはデビュー作衝突から始まる彼のキャリアは早々に子供の頃にビジョンがあったというところで、こういったところがハイライトになるのかと思いきや、映画界に入るまでがだらだらと描写されていく150分。ジョンフォードに説教されるのもいいがそれよりも中盤に蓮實重彦にブン殴られるべきだ、と思う。プライベートライアンもどきを撮影する高校生時代でもっと粘ってもよかったんじゃないか、そのシーンはよかったから。最初からスピルバーグだったとするか、スピルバーグになったとするか、どちらのスタンスにも立ちきれていないのは、あまりにもったいない

 

新・仁義の墓場(unext)

三池崇史の実録物リメイクのVシネは東映ビデオらしくつなぎがガタガタなのはご愛嬌として、岸谷五朗の演技が素晴らしい。鬼ゾリ坊主→金髪ボサ頭→鬼ゾリパンチという変遷を序盤の10分で見せつけるのはヤバいし劇伴のクールジャズがそれをなんとかカッコいいかもねくらいには持っていっている。岸谷に無理矢理処女を切られてから秒で尽くす女と化すヒロインの顔面が放送コードにひっかかるんじゃないかというほどのリアルなサセ子でぞっとした。なんて女優なんでしょうか。後半、物語のスジをたぐりきってからひたすらの岸谷のシャブ中の演技は圧巻

 

◯最近印象に残った本

ブラック・トムのバラード(東宣出版 はじめて出逢う世界のおはなしシリーズ)

…ブッチャーティとかも訳してるこの出版社のシリーズは打率が高すぎる。訳も全部良い。古本で見かけたら即買いしているのだがこれもよかった。クトゥルフのリメイクで発送はシンプルなんだけど、ブードゥー気味な能力者の黒人ギター弾きが資本家や警官の白人どもから力を取り戻すかどうか、というキャラクターに妙味がある。このシリーズは基本中編で、あっさりした綺麗な話なのかと途中予想させつつラストでもう一押しある、というものが多い。

 

ブッカケゾンビ

…ロメロが帯書いてたけど、おもいっきしトホホなホラー映画のノベライズという感じだった。新しいといえば新しい。時間の無駄といえば時間の無駄だ。大学新入生のときに仲良くなった韓国の留学生にぶっかけうどんという美味いものがあるという話をしたらヒドい嘘つくなと軽蔑されたことは毎春思い出す。あと、ぼっかけって方言にはめちゃくちゃ腹が立つ。たいたんとかもいやだ。あれらはウムラウトみたいなもんで、ひらがなで近似できない、しちゃいけないものなんじゃないか、ていうかこんな言葉書き留めるために文字は存在してい無い気さえする。

 

日本一の幽霊物件 三茶のポルターガイスト(幻冬)

…幽霊と共に30年、オカルト好きで見える体質でもある著者が幽霊物件に住んでという思い出話。バンバン出てくるだけあり怪異の変化球がけっこう良い。めちゃくちゃ見てるひとは透明感に敏感な気がする

 

ポプラ花井 ラブホ盗聴(Kindle unlimited)

…これは絶対に広まってほしい。8000本からなるテープの文字起こしはコレクターとしての業であると決意した花井が一発目に起こしたのは金玉が好きで好きで仕方ない女のテープ!マジかよ!!どんなセレクトかわからない半端な筋書き(全部画面1枚に収まるよう文字に変な圧縮をかけていてこれもまた怖い)が続くものの、肝心なテープの中身は花井が要約していたり、節々で性癖(ギャル語のほうの意です)を吐露しているからぜんぜん厚みがない、とはいえとても元気にさせてもらったけど

 

安田峰俊 北関東アンダーグラウンド

ベトナム移民の現状がわかる良書。著者は中国人カルチャーに明るく面白い本を剛柔織り交ぜて書いているが、今回は通訳をつけて足で稼いでいた。面会いったり家凸したりでつかむ移民にたいする雑感は荒いとこはあるが説得力がある。いま推進されている電子決済やインボイスによって現金使う流れが細ったら、それだけ不法滞在者やらの地下経済圏にとってはダメージなんだろうけれど、それだけじゃなくて現金とっぱらいで成立させている産業はどうなるんかと不安に思わなくはない、とはいえ我々現金が好きすぎるから、そんな心配はないか、これからは現金がパンクだ。心して消費

 

小林製薬のバイバイブラックマンコ

GHQによって巨人軍と自民党がプッシュされたのもよもや息切れといったところでニューオータニは久々に見たらなんか特大にしゃくれてねえか、ちゃんと飯食ってるか?んなことより保険料率は上がるしジジイとババアが大量すぎんだよな、死に得は許さねえ、報いの低出生率砲をくらえバババババ!てなもんで政治の根本が産めよ増やせよということであることは仕方ないのでそのへんはQちゃんも譲らなければならない一線なんではないかと思いつつ、小出監督村西とおるっぽかったなと思いつつ、教育に金まわんないからそりゃ産業はガタガタなんだけどバブル崩壊(ばぶほ〜)のトラウマで株主無視の蓄蔵資本家による底PBRだらけになっていた、今年はとりあえずPBRが0.2で自己資本比率が70%の株を握りしめていればもろびとこぞりて良いことがあるはずだ金が落ちてるようなもんだと思いいまは辛抱強く耐えるべきだ(私の推しはTBS、リョービ、ミロク、ネツレン、オハラ、日本株総合格闘技のようなギャンブルだなと最近つくづく思うのであって製造業は強いんですと桜庭和志っぽい口調で念仏を唱えながら信用買いをしておりま)、ガバナンスコードだとか買収対策だとかよくわからん理由でこれから吐き出される内部留保は戦争ボーナスの最後っ屁だ、ド派手にかましきったくらいで米不況の紙風邪に晒されてきっと我々は何の長所もない裸の黄猿軍団であることがわかるしそうなったらもう靖国TikTokするしかねえだろ、バックドアから覗いてほちいのねん

 

『踏切と幽霊』…いまどき正統派幽霊譚でベストセラーなんてすごいし硬派なジャケが気になりつづけていたがとうとう読んだ。素晴らしいというかやっぱJホラーフォーエバーってかんじのネチっぽさ。90年代という設定が利きまくり週刊誌記者が政治と裏社会とオカルトをゴシップで繋いでいくストレートなサスペンス。序盤の変に説明しすぎで恥ずかしい凡庸な文体さえ我慢して慣れればあとはバーっといく、心霊描写の中立性はとても潔癖で教科書にのってもおかしくないだろう、聖教新聞の広告でもいいんだけどさ

『トマトソースは燃えているか』…NYにギャング博物館というところがあって実際に現役の方々と親交もあった二代目館長へのインタビューをもとにした雑誌連載まとめた本。言語学バーリトゥードの著者がすすめていたので買ったんだと思う。料理の話が面白い。こういうとりとめのない連載みたいなのはやっぱ生情報に限るな、つくづくWikipediaを紡いだ落書きのことを思い出し腹が立つ。読ませるエピソードというのはやっぱりその御仁に対する愛着ありきだと思うし、又聞きというのもどんなルートで聞いたかという枕があればまた良いものだ。

 

ウンベルトエーコ言語学1・2が神保町のエサ箱に落ちていたので落語家の猥談集とともにゲット。エーコのは先行研究の解説本かと思ってノータッチだったが病みかけたブロガーみたいな歪んだ畏まり方をしており意外だったから出会えてよかったと思う。というか深堀骨の『腿太郎伝説』をいま読んでいるので日常おもしろ感覚が顛倒している。戸川はよく即興で歌をつくるが最近の打率は高い。最高傑作はコンビニ帰りに歌っていた「酸っぱいぶどう!酸っぱいぶどう!」というものであれは腰抜かしかけてそのあと肩こりがひどくなった、ポリネシアの人たちは肩こりを守護霊で説明することがあればいいなと思う

ピロリ京介

生きていればいいことはあるというが好きな映画が名画座でかかったり、絶版本の値段が落ち着いてきたりしたときにそれをとみに感じるもので、まんだらけミリオン出版の心霊大全を格安でゲット、付録に心霊音声が再生できるCD-ROMがついているがうちの再生機は壊れていたんだったこれは怪異ですか

 

最近仕事が辛くライトな本ばかり読んでいる

後藤護『黒人音楽全史』…際立った黒人何人かのアンソロジー、著者は精神機関史という気合いの入ったジンを出していたりポパイで連載していたりTwitterでは気合いで洋書を読んでいてイケてる知識人かと思ったがこの本はひどい、前書きで音楽には立ち入らない旨方針立てており嫌な予感はしていたが、バリバリWikipediaトリビアのエディットだった、というか各論はほとんど入手容易なネタ本によるもので各人を通底する黒人とは何者かというイメージについては読者に委ねられる。彼がどのような簡単で人物をチョイスして、どのような星座を結ぼうとしていたかというのは一切明かされない。理論分析までは立ち入らなくとも、ミュージシャンの表象に踏み込むならば演奏や録音テクノロジーは明らかにアティチュードの一部や個性の偏差のはずなのに、それらがほとんどないので片手落ちのまま各章独立したエッセイを読まされる、これはだめだ

安田理央『日本AV全史』…川奈まり子的なオバハンかと思ったら男性だった。彼の本はけっこう気になってけっこう買っていたものの通読は初めてだったがけっこう良い。AV新法までの流れをコンパクトに理解することができるし、雑誌などから各時代のエポックな波をうまく拾っている、いい本だった。最近ぜんぜんみてないからSODはバカなAVを続けてるもんだと思ったらそんなことなかった。いまのモードはエスカレートするど素人シリーズが作ったんだろう。トージローが元気なのは日本の宝だ、彼は蝶野とめっちゃカブるし、武藤敬司が引退際に急遽一戦交えたところをみてなおさらそう思った、これからもがんばれ

瀬川拓郎『アイヌと縄文』…これは面白い。アイヌ研究者の本なんだけどスコープは北海道やアイヌ縄文文化の近しさにとどまらず、弥生文化が起こってから縄文の人たちの暮らしや文化がどのように残って共生したのかということがちょっと言語的な例証多めで辛いがわかる良書。カムイ伝読んでないからわかんないけどアイヌから日本史を捉え直すという試みはいまどきで面白いアプローチなんじゃないかな

 

新文芸坐でダブ映画バビロンを観た。UKレゲエシーンもファッション(コーデュロイ使いにビビる)も忖度なしのリアルで主演も音楽もアスワド。サウンドシステムバトルに向けてクルーが仕事やらビートの調達やらして、というストレートだけどリアルな生活を伝えるあったかい映画だった。自分はレゲエ興味ないなと思っていたが急に思い出したのはけっこうアスワドとリーペリーのCDを実家に持っている、というのも、15歳くらいに深夜ラジオにハマったとき、夜明け前の東京FMがかなりアツかったからだ、もっとも熱心にFMをハシゴしていたのは土曜の夜で、深夜2時からみうらじゅんと安西肇のクソしょうもない番組を聴き(FMなのに下ネタなんでだろうとかセクシーどどいつを長時間コーナーする)、そのあと誰かの地味なレゲエ、あんちゃんのメタル番組、新興宗教の各30分の番組を聴いたら夜が開けてひととおり外見てから寝る、というあれは最高な週末だった。世の中いろんなものがあって、自分は何にハマるんだろうかとわくわくしたもんだが

今は爆笑問題カーボーイしかチェックしていない。これは番組としては停滞しているんだけど、最近になりネタ合わせに関するグチが多くそれがなにより面白い。物分かりの悪い田中にいまさらなダメ出しをする太田と田中の狂人的な言い訳は可愛いやりとりだし、バンドで練習しているときのモヤモヤを解消してくれる快いものでもある

ラジオみたいな受動的な文化はなかなか良いものだし話もプレイリストも消えてしまうからお勉強的になりすぎず、貴重なものだと思う。U-NEXTがradikoを吸収して昔のオールナイト聴けるようになんないかな。電気のオールナイトを聴いてみたい気もするが、従順なファンが痛そうで幻滅しそうでなかなか聴けていない

 

仲の良い友達が海外に移住するらしく日本最後の夜に痛飲、とはいえ大した話もせず、フィッシュマンズが地元に来た時に盗聴したライブテープを世界の民族音楽で上書きした、という話しか覚えていない。日本に幻滅してもついでにおれには幻滅しないでほしい、いつまでも変わらずにいるからな、ピグミー族最高!

 

その男ヌーヴォーにつき

若い頃の相川翔主演のVシネは結構面白い。黒沢清が撮ったシリーズはさることながら、べたべたなヤクザものでも居酒屋で夕方にかかったりしてると結構見れてしまう。ストーリーやアクションの陳腐さを一切取り払ってしまう雰囲気が相川翔にはある。案外演技に癖がなく、どんな役でもこなすし普通にスゴみがないのになんでノワールばっかり出ているのか不思議なんだけど、とにかく声が変なのがいい。どんなめちゃくちゃな場面でも声が変だからアリになってしまう。マンネリVシネで肝要なのは主要キャラがみな最後のほうまで死んではいけないところで、相川翔は弾が当たらない銃撃戦がとても似合う。おそらく本人私物なんだろうリムの太いメガネもコステロっぽく似合ってる、普通に虜になってしまった。デビュー作の鉄砲玉ぴゅ〜から既に完成されていた愛らしい小物感、そいや有吉にクソ似てる

それに比べて白竜はマジで怖い。現場がヌルすぎて演技を放棄するんじゃないか、というメタ的な恐れを抱かせられるくらい醸し出すものがありすぎる。前の職場にぜんぜん仕事もしなければ無駄話で調整役を買うわけでもない超人的にシャイな別の島の上司がいたんだけど、その人は顔が白竜にそっくりだったせいで私は心底彼を恐れており給湯室で彼の陰口が展開された際にも無駄に肩を持ったりしてしまっていたほどだった

 

ライブ中にローランドのシンセが壊れて最後の2曲は生ピアノに変えて大変だった。軽いしフィルターの再現度がかなり再現度が高いから、ライブにはいいだろうとはじめてちゃんとしたデジタル機材を買ったのに、1年くらいでバテるのは甘利にも終わってる。パネル部がガチガチに金属なのに情けない。いまは黒光りするゴミなのに。金輪際ローランドは信用せずベリンガープロフェットクローンを大人しく待つことにしつつ今後クソ重いブラザーのオルガンとエフェクター何個かを持ち運んでライブに行くのかと思うとダルすぎる。指先からオルガンの音が出たらいいのにな。それにしても楽器がうまくならない

ローランドは外国人社長になってからプロユースとエントリー機材の境目にあるオリジナルな面白いところが急になくなってきた気がして心配。顧客をナメたり中国に向かわざるを得ないところはあるんだろうが全然レガシーが生きていない。多分、抵抗とか真空管やらの入手の問題で昔そのままの回路が作れなくなってて、というのもあるんだろうけれど、ベリンガーくらいの完成度でも、いじってれば全然燃えるアナログ魂というものは確実にある。それなりの精度でいいから復活させてほしい。ロシア製の部材がとれなくなってなおさらアナログシンセまわりは辛いんだと思うが

 

深堀骨の新刊が出るらしくとても楽しみ。文体圧がものすごく、好きになってはいけないと感じてしまうくらいの反則技を繰り出し続けているおっさん。中高生の頃に文芸誌でくらった変な作家、阿部和重本谷有希子舞城王太郎笙野頼子らへんは情報量が溢れておりこれがゼロ年代だったのかというかんじだったがみな各々落ち着いてくるか気が触れてきている感もありそのなかで深堀骨はばりばりクラッシックなんであって木下古栗は自覚的職業的にこなしているところもなかなか好きだ

 

変わらないといえばバーホーベンのベネデッタ、修道院での奇跡をもとにしたサスペンスは奇跡というものがある程度の意外性が求められるという事象に着目した揺れがすさまじい、奇跡を奇跡として受け入れてしまえばもうそれは茶番という危うさ、ペテンゆえに信じたいというペスト禍の人間心理がとてもスリリングであったけれども大枠は予知夢にうなされ革命戦士として目覚めたシュワちゃん大暴れのトータルリコールと大差ない手堅さで、この映画のことはすぐに忘れてしまうだろうとも思ったしそれはそれでいい。惜しくも我が国には佐村河内守容疑者がつい最近降臨したばかりだし彼は確実にキリストであった、調整音楽という千年王国復権を目指さし数万円ぽっちのギャラで錬金術をおこなった彼のソウルはとても美しくいつまでも私の心の中に残るだろう。佐村河内守、どんな哀れでもいいから音楽を続けてくれ、まだムーンドックになる道は残されているのだから、彼にベリンガーのモノシンセという秘蹟が与えられますよう、お祈り申し上げます

 

ゲームセンターじらし

寿司が回転し続ける空間においてひとは正気を保てるものなのか、ストリートキッズ版アイヒマン裁判の火蓋は切って落とされた。おれはかねてから、中古で家電を買うときにはチンコとウンコのことしか考えてこなかった。古本、チン毛しおり上等。中古シンセ、チンコで弾いてるかも、これならばウクライナの指揮官並みに勇み買う。炊飯器、ウンコ炊いてるかも、これはなし。みたいな。疑心暗鬼になったらきりがないけれどみんなどこかで線引きをしてうまくやっている。そんななかで過剰に報道するのはどうかと気の毒にはなる。あの動画をみて、なんとなく、荒野行動ってこういうことか、という知見だけは得た。けれどこれを機会にカウンター寿司の魅力を再確認することになったことはとても良かったことだ。立ち食いであればスシローとさほど値段も変わらずに素敵な大将が昨晩シコってから風呂入って綺麗になった手で自分のために握ってくれた寿司を提供してくれるはずだ。いなりもにぎってる。

この騒動は裏を返せば回転寿司という営業形態に一定の期待と信用が形成されたということでもあり、ちょっと前ならなにかとひどい店もあったわけでマナーも千差万別というのがローカルな姿だったと思う、それが競争でうまく淘汰された挙句、今回のビジネスモデルの根幹を揺るがす事態なんである。向かうべき方向はふたつしかない。いまよりもフランチャイズがちがちな衛生管理が進んでつまらなくなった分を過剰なオート化などで補っていくか(客の身体を五点拘束してレールから寿司が直で注ぎ込みつつワサビの代用で鼻フックで清涼感を与えるとか)、客同士を牽制させあって一定の秩序を生み出すかだ。後者につながるのは通報の積み重ねでは決してないはずで、たぶんファンダム的なものだ、例えば誰もしょうゆをペロペロしないまま累計1万皿達成できました、的ないやそれはつまんないか、持ち込み料払ってマイボトルをペロペロしながら寿司をつまむってのがオツかもね、徴兵も回避できるしな。いぇい

 

しかしハメをしっかり外し続けるという人間は一定数おりその存在群は社会善であると思う。コロナでそのへんの連中が叩かれやすくなっていることを憂う。探検家という職業が過去のものなんですよ、というのが村上龍13歳のハローワークの冒頭だったし職業教育の初歩としては申し分のない導入なんだろうが探検家というのはなかなかしぶとい。高橋大輔『漂流の島』はロビンソンクルーソーのモデルが過ごした住居を探し当てるために脱サラした探検家が今度はジョン万次郎らが漂着したアホウドリが住まう島になんとか向かい痕跡みつけるというノンフィクション。こういう執念深いアホがいるということは大事なことだと思う。なかなか読ませる展開だった。

 

明日はライブ、前売りで埋まったらしくそういうぎゅうぎゅうな雰囲気で演奏するバンドではないだろうと思いつつ、なかなか楽しみだ、とはいえ自分はとても前売りを買って計画を立てるというタチではないので、なかなか酷なことだとは思う、常に私語とドリンクオーダーを推奨するライブを今年は企画してみたい(スピったコルトレーンは曲が終えられず延々と演奏し続けドリンクオーダーが入らなかったからハコの人がブチ切れたらしい、んでそのあと楽屋に戻っても吹いてたってすごいよね)。ちょっとしか人が来なくてもそれならペイだろう、パブロックってそういうことなのかどうか

 

国分寺ペイペイの還元率が高くアツい。とても好きなスポットが点在している割に駅前がクソ閑散としているのもよろしい

 

 

 

 

 

くっせえわ

私が物心ついて以来、TBSの土曜午前は東京のイケてるスポットからグルメ、お部屋まで幅広く紹介する王様のブランチが放映されているが、地方に住んでショックだったのは部分的ではあれブランチがまあ全国的に放映されているらしいということだった。なぜ視聴者の大部分に縁のない情報を発信し続けているのかと以来疑問だったが最近謎がすっきり解けた。

TBSのIR資料をみると、資産や収益の大部分を赤坂付近の不動産が占めている。要はTBSは港区赤坂に引力を生じさせることは使命なんである、ここまで潔く都市機能の豊かさ快適さ喧伝する姿には胸を打たれるものさえある。東京のことならTBSにお任せ!しかし王様的な振る舞いをした渡部は秒でパージされたので共和国のブランチという名前のほうがしっくりはくる

 

しかもTBSは自社総額以上の東京エレクトロンの株を塩漬けにしており、資本を全く活用できていないよくわからない存在なのもクールだ。アクティビストが台頭してきているなかで今後の展開に期待が持てる。低PBRなとこも投資対象として魅力だ。東証が今年なんとかしようとしとるけん

東京の都市機能は90年かそこらにはすでに完成していて、あとは代謝を繰り返しながら差異がなくなっていくだけだということは渋谷のブンカムラに至るエリアと歌舞伎町エリアの池袋化を見るに明確なことであり、官能度は確実に下がっている。官能度がなくなった都市ではどうしても顕示的な消費が目立ちそれはまさしくブランチ的な世界なんである

高橋伴明監督の『愛の新世界』は94年のSM嬢とホテトル嬢の日常系。大人計画の面子を穴兄弟にする舞台女優役の鈴木砂羽がこなす女王様の演技は素晴らしい。彼女がアラーキーポートレートを撮られるところから物語が始まって、東京各所で舞台公演までの日々がまあだらだら続くんだけど、同じロケーションでアラーキーの撮ったスカした彼女のヌードが挿入されて、その剛柔なギャップが映画に奥行きを与えている。アラーキーの写真はようわからんけれど、彼は被写体の生活感のようなものに異様に執着していることがこの映画をみてわかったことでもある。無駄に車飛ばすし、まあいい映画であった。ロジャーコーマン、高橋伴明、やら無駄に車飛ばす映画ばかり最近観ている気がする。

 

最初のほうのJUNOをデジタルで再現するRolandのシンセを最近メインで使ってて、安さゆえ同時発音が4だからなんとかモジュレーションかけつつテンションノートだけ入れていくかんじがけっこう面白かったんだけど、便利な音つくったのにコーラス切ったら無音になるつうバグが発生してリセット、そのあとはジャック(これもステレオミニでいちいち最悪)を半挿しにしないと音が出なくなってまあ完全に見放したい。アナログなふるまいをするデジタルのプロダクトが情けなく壊れていく様は無様である…

しかしプロフェット5を弾く矢野顕子の音選びはまあすごかったと思う、やつはピアノになるとさらに和音を抜く。高橋幸宏のグルーヴもすごいけどさ、あれはしこたまリズムマシンに合わせてしらけずに演奏したいと願った人間にのみ叶うグルーヴだ、なので我々にも確実に少しはシェアされているはず。全身RIP(きのう仕事で自動文字起こしを使ってたら立法という言葉が全て「リップを」で起こされて魂が震えた。議員リップを…だって)

 

国書刊行会のドーキーアーカイヴシリーズは軽い読み口のストレンジフィクションが集まっていて最近のたのしみだ。いま本当にヤバいのはマヤ文学のシリーズなんだけど理屈がおかしすぎて読んでいて疲れる、最近は仕事が忙しいしバンドのあわせるのでも頭使うからあまり難しい本は読めなくなった。老化かもしれんがまあ重盛さとみの代じゃけんてなもんで『さらば、シェヘラザード』はまあ面白かった。書こうとして書けないポルノ作家のタイプライターがすべりにすべる哀しい話ではあるんだけどこれって会田誠の『青春と変態』じゃねって気持ちをぐっとこらえて読み進めたあとのラストに向かう疾走感よ、メタフィクションの類はブログに淘汰されつつ(そいや金子兜太の日記最高!)あるけれどもウレセン作家の本気はマスターピースまあ