くっせえわ

私が物心ついて以来、TBSの土曜午前は東京のイケてるスポットからグルメ、お部屋まで幅広く紹介する王様のブランチが放映されているが、地方に住んでショックだったのは部分的ではあれブランチがまあ全国的に放映されているらしいということだった。なぜ視聴者の大部分に縁のない情報を発信し続けているのかと以来疑問だったが最近謎がすっきり解けた。

TBSのIR資料をみると、資産や収益の大部分を赤坂付近の不動産が占めている。要はTBSは港区赤坂に引力を生じさせることは使命なんである、ここまで潔く都市機能の豊かさ快適さ喧伝する姿には胸を打たれるものさえある。東京のことならTBSにお任せ!しかし王様的な振る舞いをした渡部は秒でパージされたので共和国のブランチという名前のほうがしっくりはくる

 

しかもTBSは自社総額以上の東京エレクトロンの株を塩漬けにしており、資本を全く活用できていないよくわからない存在なのもクールだ。アクティビストが台頭してきているなかで今後の展開に期待が持てる。低PBRなとこも投資対象として魅力だ。東証が今年なんとかしようとしとるけん

東京の都市機能は90年かそこらにはすでに完成していて、あとは代謝を繰り返しながら差異がなくなっていくだけだということは渋谷のブンカムラに至るエリアと歌舞伎町エリアの池袋化を見るに明確なことであり、官能度は確実に下がっている。官能度がなくなった都市ではどうしても顕示的な消費が目立ちそれはまさしくブランチ的な世界なんである

高橋伴明監督の『愛の新世界』は94年のSM嬢とホテトル嬢の日常系。大人計画の面子を穴兄弟にする舞台女優役の鈴木砂羽がこなす女王様の演技は素晴らしい。彼女がアラーキーポートレートを撮られるところから物語が始まって、東京各所で舞台公演までの日々がまあだらだら続くんだけど、同じロケーションでアラーキーの撮ったスカした彼女のヌードが挿入されて、その剛柔なギャップが映画に奥行きを与えている。アラーキーの写真はようわからんけれど、彼は被写体の生活感のようなものに異様に執着していることがこの映画をみてわかったことでもある。無駄に車飛ばすし、まあいい映画であった。ロジャーコーマン、高橋伴明、やら無駄に車飛ばす映画ばかり最近観ている気がする。

 

最初のほうのJUNOをデジタルで再現するRolandのシンセを最近メインで使ってて、安さゆえ同時発音が4だからなんとかモジュレーションかけつつテンションノートだけ入れていくかんじがけっこう面白かったんだけど、便利な音つくったのにコーラス切ったら無音になるつうバグが発生してリセット、そのあとはジャック(これもステレオミニでいちいち最悪)を半挿しにしないと音が出なくなってまあ完全に見放したい。アナログなふるまいをするデジタルのプロダクトが情けなく壊れていく様は無様である…

しかしプロフェット5を弾く矢野顕子の音選びはまあすごかったと思う、やつはピアノになるとさらに和音を抜く。高橋幸宏のグルーヴもすごいけどさ、あれはしこたまリズムマシンに合わせてしらけずに演奏したいと願った人間にのみ叶うグルーヴだ、なので我々にも確実に少しはシェアされているはず。全身RIP(きのう仕事で自動文字起こしを使ってたら立法という言葉が全て「リップを」で起こされて魂が震えた。議員リップを…だって)

 

国書刊行会のドーキーアーカイヴシリーズは軽い読み口のストレンジフィクションが集まっていて最近のたのしみだ。いま本当にヤバいのはマヤ文学のシリーズなんだけど理屈がおかしすぎて読んでいて疲れる、最近は仕事が忙しいしバンドのあわせるのでも頭使うからあまり難しい本は読めなくなった。老化かもしれんがまあ重盛さとみの代じゃけんてなもんで『さらば、シェヘラザード』はまあ面白かった。書こうとして書けないポルノ作家のタイプライターがすべりにすべる哀しい話ではあるんだけどこれって会田誠の『青春と変態』じゃねって気持ちをぐっとこらえて読み進めたあとのラストに向かう疾走感よ、メタフィクションの類はブログに淘汰されつつ(そいや金子兜太の日記最高!)あるけれどもウレセン作家の本気はマスターピースまあ