リモート日記 ウィアーザワールド編

Netflixみてたら必然的に黒人と白人ばかりを眺める時間が増えた。みんな手足が長かったり屈強だったりして綺麗だ。風呂場の鏡に映った情けないようで逞しくも猿、プロゴルファーじゃないほうのこの猿はいったい誰なんだ。iPhone使ってるの、ちょっと滑稽かもしれないし、やめようかな。第6世代だからギリギリセーフかな。しかしピンチ動作だけは人類史上おまんちょ開くときにしかしなかった動作なのでこれだけは勘弁願いたい。もともとSiriに話しかけるのは恥ずかしすぎて一回もしたことがなかったのは救いだ。ジョブズがもし生きてたらSiriは日本語でASSって意味なんですよと伝えつつ僕のiPhoneを粉々に粉砕して進化して薄くなったフレームでまっすぐなLSIのラインを引いてケツからスニッフしてもらって喜ばせたい。それから2人で最近本当のマルチタスクが可能になったiPadで肩を寄せ合いミッドナイトゴスペル見るんだ。そしたら超内省的な禅の理解に対してパキパキのジョブズはアホンダラ言いますわ!謙虚なれよ!

 

洋物たくさんみた後のテラハの絵面は皆似たような見た目と悩みを抱えているように見え、もっとピースな愛のバイブスでポジティブな感じでお願いできないもんかと思ってしまう。9階から飛び降りても生きてるくらいの奇跡的な環境だ。そう考えると外国は社会のもともとの断絶が深くて大変そうだな。

 

白人だけでもいろいろある。植民地の成り立ちがもろに現代社会にキャストされている点でアメリカは壮大稀有な実験国家ということがわかるナンシー・アイゼンバーグ『ホワイト・トラッシュ  アメリカ低層白人の四百年史』。首の日焼けまで差別対象なんて可哀想だ。こちとら犬年齢1歳ごろに白球を追いかけまくって日焼けしまくった過去を持つ元高校球児に職場や大衆居酒屋等で幅を利かせられ続ける終わりなき日常を生きているのに。彼らは身体をもっと強くするために阪神園芸が天塩にかけて仕込んだ土を食べます。野球好きが垣間見える新興系の居酒屋店主ってやたらワンピースと相田みつお好きだよな。マイク・モラスキー『呑めば、都』はジャズ喫茶文化考察で旗を上げた洞察力で外国人の視点から居酒屋を論じていて新鮮な気づきをくれるけれど、対象が吉田類っぽいチョイスだからそのあたりに手が届いていないのが悔やまれる。あと和民かどっかのチェーン居酒屋の小便器って前に液晶画面がついてて尿量のハイスコアをゲーム形式で競わせてるってのは性別問わず知ってほしい。最近は知らないけどまだ続けているようなら人権侵害の何者でもないのでやめてほしい。しょんべんをぶっ放す権利は怒りのアフガンタイプ以前のフォークタイプ長渕が声を大にして勝ち取った尊いものだから…  前に何軒か梯子して大酒を飲んだ末にパスタをそのまま揚げただけのお通し(あれは油に通すって意味だったんだろうな。カットしてもらえばよかった。半分の長さなら食べやすいから)をクエン酸入りの焼酎で流し込むためだけに立ち寄った際にトライさせられて、暫定王者のダブルスコアを叩き出した記憶がある。あれは夢か?是非とも夢であってくれ。

 

オレンジサンシャインとかいうオーストラリアの映画もイギリスから本人の意思でなく送られる孤児やハンデのある人達に焦点を当てた映画だったような記憶がある。オーストラリアの人達はどんなものを国家のアイデンティティとして共有してるんだろうか。

 

ヒッピームーブメントの際にインディアンカルチャーの理解が深まったことが影響しているんだろうけど、日本のヒッピーはかなりアイヌにシンパシーを抱いているみたい。雑誌スペクテーターのヒッピー特殊は熱量がすごくてよかったな。でもそこは皆にとってのルーツというアイコンではあんまり理解できない。どちらかというと天狗伝説のほうが納得できる。

 

 

リモート日記 パンクシー編

子供の頃、疑問を持ってなにかを調べるという行為が極端に嫌いで、今思えばわずかな情報で世界をシンプルに曲解していた、と感じるけど僕と同じ犬年齢4歳くらいのみんなはどう振り返っているんだろう。ネットがそばに無かった頃のことを大事にしなければ自分たちの世代は救われないんじゃないかな。悔しくて。練り消しキボンヌとか言いたかった。オウムのせいでオカルトにかぶれることが禁止された世界だったのも惜しすぎる。思想統制の元凶となった罪で松本智津夫には是非ともシケイになってもらいたい。

未だにテレビをザップして偶然得た情報で合点がいった思考から逃れられないで妄想が加速するのは世代的な病だと思うことにしている。もしくは最近特に暇だから。昼飯時に恵の髪色が超変で怖いなと思ってチャンネル変えたら坂上忍がアナウンサーに喚いててもっと怖かった。忍はイライラ棒に挑戦して冷静さを取り戻すべきだ。ナンチャンが100万円くれるかもしれないし。

さやわか・ばるぼら『僕たちのインターネット史』(亜紀書房)をぱらぱら流し読み。経験に即した語りによる清談ってかんじで少し古いけどまだまだ読める。Windows95が出るまでパソコンとインターネットはパンクな遊びだったようで羨ましい。Appleはその時代の雰囲気だけうまく残してアメリカ政府の役割を継承して発展したようだけど。ジョブズがまだ生きてたとして部下からiPhoneSE2の試作機を見せられたらなんでいつまでもこんな小便臭いもん作ってるんだって粉々にハンマーで砕いてからスニッフしてハイになりアホンダラ言いますわ。謙虚なれよ!って。

 

巷ではもう何年も悪役レスラー安倍晋三に対するはマーベルスーパーヒーローデモマン(小個体が合体して大きなホワイトノイズになって巨大カンテイをこうげきする)とSNSマン(小合体がうちで踊りながら合体して大きな雲になってもくもくしていつのまにか消える)の攻防が繰り広げられていて、でも実は!安倍は悪役にみせかけた影のフィクサー、雑なネットストーキングで空気を把握して微妙なタイミングで試合後の皆の焼肉代をこっそりたまにカンパしてくれていたのです、食べ終わったあとガムは各個体に2個くれるという、衝撃の事実が明るみになりつつあるという混迷を極めたヌルい時代になっていて今こそ佐山聡にコロすぞ馬鹿野郎と喝を入れてもらいたい季節においてもなお、

 

思想としてのパンクスは未だ有効だと思う。なぜならそれを体現するような皆が思い浮かべる典型的なパンクス、モヒカンやスキンでそんな奴は案外少なすぎるからだ。ここでブルーハーツ信者が今なお問題をややこしくしている。ブルーハーツ忌野清志郎の精神的パシリで、忌野清志郎坂本龍一とキスをしたせいとかで早死にしたケバいオネエなんだけど。

 

とにかくパンクスは武器が少なくてよかった。3つのコードのすかすかの隙間からじゃんじゃん漏れ出して衝動が現代までたどり着いている。オリジナルな連中はどんどん死に始めてるけど残党は禿げたり太ったりしつつもテクノロジーとうまく付き合って社会に紛れ込んだ。かなりの気合を感じる。今世紀に音楽やるなら電子楽器使わないとウソだ。ギターはエフェクターやアンプで化粧しなければならず、PCはWindowsMacで悩んでるあいだに気持ちが不健康になる。サンプラーやアナログシンセを直接PA卓に流し込むほうがヘルシーに決まっている。"P直"で踏んでも落としても壊れない。壊れ方もゆっくりだから気持ちの整理がつく。

 

十代の頃は気持ちのもやもやがおさまりきらず、そんなふうに超健全なものをずっと探していた。近所のブックオフで。プロディジーやエイフェックスツインやメルツバウがパンクヒーローで鼻歌で歌って変速機ついてないママチャリをこいでた。アンダーワールドやマッシヴアタックはWAVE視聴器でかなりの時間聴いたと思う。

そのマッシヴアタックの3Dがバンクシーになった。これはすごいことだ。絵としての価値やビジュツ史における評価位置づけはどうでもいい。だってそれを検討する熱量でまじめにマッシヴアタック聴くんですか、聴かないでしょう、それでいいんですよ、僕はそれなりに真面目に聴いたけど大層な意味はないと思いました。もやもやが半日収まったくらいで。パンクだから。

3Dはパンクミュージックの枠から飛び出して本当のパンクになった。瓦礫を札束に変える奇跡を繰り返し起こすことができるようになったからだ。こうなってしまえば体制も反体制もなく世界をハックし放題、あの東京都のネズミは小池百合子が発注したんだと思う。あんなのバカちっさくてみつかるわけないし見つかったとしてバンクシーのだと信じるのは難しいだろうし、見つかってすぐに変な色の雨ガッパで百合子が現場に駆けつけた百合子そんな暇なのか。無重力空間で旗がパタパタしてたNASAの月面着陸くらいありえない。きっと変な筋から話が来て、オリンピックの裏金で乗ることにして、そしたらステンシルが適当に梱包されてフェデックスで送られてきて、都の職員が普通の雨ガッパ着ながらボムしたんだろう。クールすぎるぞ、都職員、もうすぐあなたたちの上司はホリ衛門になって元気が出る薬をくれたりすると思うから頑張ってほしい。前科者だけどインコーで捕まったことがあるマンゴー知事よりましだと思う。耄碌したガンコ太陽族ジジイでも務まったんだから誰がなっても余裕でしょうね。

 

やっとここからマジな話でDEBACLE PATHというハードコアパンク雑誌のvol.2は「ハードコアパンクと学術」がテーマで当たり前に面白いし次号も楽しみだ。気付いたら現代思想ユリイカみたいになっちゃっててユリイカはWAVE(に置いてあったやたら分厚い無料雑誌WAVE)みたいになっちゃってて、当たり前を頑張ることこそが金メダル。

 

来年のオリンピックで流れるであろう椎名林檎の軍艦マーチ、楽しみだな〜

 

リモート日記 IMO・※池ナル孔の呪縛編

飲みに行けなくなって悲しいくらいスーパーと本屋しか用事がない。どうやって友達と連絡したり会ったりするのかもわからなくなった。それで稼げなくなった以上に金が貯まる。それなりに仕事してるし。

yahooでありえないパーセントの割引クーポンが出てボコーダーのクローンを注文した。戸川はポエマーになるらしいからライブで戸川の声を突っ込んでジョボジョボ和音で動くようなスタイルを試したらいいかもしれない。ボイシングの勉強はだるいしメロディの束だと思えばすいすい弾けそう。

せっかくのニューギア、届くのが楽しみなはずなのに楽しみになりきれない自分がいる。それは購入を検討するにあたって参照したデモ動画のせいだ。クローンの質はどうかと本物偽物両方のデモ動画を観たら音は問題ないことがわかったけど、案の定そいつらのいじり方が最悪で、多くの動画で繰り返しトキオゥ…トキオゥ…と言ってやがる。天王が死を回避しえたこの令和の時代にそんなの見せびらかして、嬉しいか?来世でもやらねえよ、いい加減にしてくれ。ギターエフェクターのデモ動画でもよく残念に感じるけれども。ギターのはたいがい超コテコテのプレーで皆が皆ヴァンヘイレン弾きたくなると思うなよそもそもそれ食料品売り場で流れてるカラオケアレンジしか聴いたことないんですけどってかんじがするけども、あと空間系エフェクトでテンションコード爪弾いてあら素敵、私も素敵な気分になろうかしらやっぱ楽器なんてイモよねゴダールのボックス買ってソファで優雅な昼寝が素敵ねってパターンもあるね、なんていうとりますけどもね、吉本中年芸人がゴールデンでやたらプロレスネタに引っ張るが如くの強い磁力で購買欲をデモ動画に吸い取られることが往々にしてありまっしゃろ、せやけどボコーダーのデモプレイはそれ以上にとにかく地獄やってん!アシッドベースのデモでダフトパンクやりたなるのはまだ気持ちわかるでフィルターのかかりも伝わるやん、せやけどもね、そんな低いキーでトキオゥ…トキオゥっつって何がわかるちゅうねん!アホンダラ言いますわ!謙虚なれよ!

とブラウザのばってんをごく強めにクリックして考えてみたんだけど、IMOのこと鮮明に引きずっている人はよくいると思う。それがいろんなビンテージ機材の情報を漁る時に相当なノイズになっている。最初の頃のDA PUMP聴いて強めに鳴ってるのがリンドラムなのか調べちゃIMO情報、ボタンの配色が気になり調べた808も IMO、テクノポップはもちろん IMO…本当に知りたいのはデビッドボウイと忌野清志郎が間接キスしたってことで良いのかってことなのに。

※池さんの遺産も相当だ。読ませる耽美な文章がうまいし江戸言葉でユーモアもあってステージングはマジもんの多動ですごい人だと思う。いろいろしてるけれど熱心なファンは情報が相対化アップデートされてない傾向があると感じる。特に音楽史やカルチャー史なんかは全ての歴史は偽史っていう話ではなく編み方で面白がらせるものであって彼は学者ではないから責任もとらないし喜んで歴史を切り貼りして孫引きもしている。すごく面白いとは思うけどそれが絶対ではないし全てではない。けれどもネットには通説じみた形で半端なその断片がごろごろ落ちててげんなりする。

彼らは自分自身を歴史に位置付けたことこそが素晴らしい。かたや更新される最新の機材によってかたや変化する体調や人間関係や流行歌から受けたケイジによって規定された条件のなかで面白いことをしようとしてきた、その態度こそが称賛に値するんだと思う。その奇跡がばらばらに、詳細なデータとともになんでも記録記憶に残ってしまうのは罪なことかもしれない。

 

テクノロジーが進歩してきて時代が真っ直ぐ推進してきたように思える時期はとうに終わった。ヘーゲルも200年前にそんなこと言ってた気がするけど、こと音楽についてはマジで終わった、今後は下手すると悲しすぎるもしくはウェイすぎる世界が訪れるかもしれない難しい時代が続くと思う。何を覚えていて何を忘れて、そのうえで何と寄り添いたいか考えないと、プラグインを重ねただけのごちゃごちゃな積み木遊びになりかねない。クラブがなくなってもまた作ればいいから取り返しはつくけれど、こっちは取り返しつかない気がするな。そうなった暁には暗い部屋でひとりテレビはつけたまま、トキオゥ…トキオゥ…ですね

リモート日記 散財編

いつのまにかメガネが少し歪んで最近見るものすべてがつまらなく見えそうになる。重度の乱視だから困ってる。最近寝るときもメガネしたまま寝ることが多い。朝起きてメガネを探すための手がかりが絶望的になにもない。生き物として終わってると思う。2020年に神はいない。金持ちになったらメガネを探すためのメガネを部屋のそこら中にたくさん敷き詰めたい。これがロドス島か?飛ぶぞおってかんじで。

 

今日は西荻で古本屋。新規開拓してから高円寺。キューバ文学で面白そうな新刊があった。共和国って出版社のを最近やたら買う。あと分子運動の本、付録に分子運動のリズムCDがついていた。小説はメルカリで古川日出男が一冊届くのを待てずに文庫半額セールだったので彼のを買い漁る。名前がイケイケすぎてずっと読まず嫌いだったけど冷静に考えたらやたら長い長編も面白そうでこれから一通り読もうと思っている。ゼロ年代の彼はメディアミックスの香りがした気がするしそういうの地雷多い時期だった、そもそも阿部和重に夢中だったんだ。『オーガ(ニ)ズム』はいい終わり方をした。思い出すだけで泣けてくる。阿部和重はネットから情報がフラッドして比重を増しつつあった掲示板や動画やらの娯楽の快楽と向き合い相対化して文学を更新してきたように思う。久々に初期の作品も読み返したんだけどロリコン教師が演劇教える純愛物が本当によかった。タイトルは忘れた。

がらがらの電車でオールバックで白シャツ裸足でローファーの青年がプールに行く時に使うようなビニールバッグから徐ろに橋本治を取り出して読んでて驚いた。橋本治は何歳で読んでも別のよさがあるだろう。亡くなって残念。

家に帰って火鍋を食べてから早速、古川日出男『僕たちは歩かない』を風呂で読んだらこれはまさにコロナ文学という奇跡、山手線に乗ってたら26時間ある世界、人の少ない東京に迷い込んでっていう話で、こんなこともあるんだと感動した。

これから『聖家族』か『アラビアの夜の種族』を読もうと思う。

最近、火鍋を上手に作るコツがわかった。マーラージャンは味噌かと思ってたけどあれは油として扱ったほうがいい。最初にマーラージャンを油とニンニクと粒胡椒で炒めて、ちょっと焦がしてから生姜とネギを入れる。すると全部をネギが纏うからそのネギを水に入れて少しの醤油と塩、思ってるより多めに砂糖でぼこぼこ煮る。それから肉野菜。これだけだと辛くて腹を壊しかねないからちょっと豆乳か牛乳を入れると丁度いい…肉は鳥よりも豚バラがいいな。鳥の場合は炒める段階で皮を下にして油を落とすとスープにコクが出るんだけどラーメンに近づいて少しジャンク味になる。

 

岡山の個人古本屋ながいひる通販でキャシー・アッカーの絶版本とトラッシュアップマガジンの映画特集(最新トラッシュムービーだって、大型本でかっこいいその後小さくなって廃刊した気がする)を購入、日本の古本屋とAmazonを見るのに飽きていたから独立したオンラインショップが面白い。ながいひるはやたらアイドル本があり謎の値付。アッカーは93年くらいで訳は山形浩生。すごいエネルギッシュな人だ。

ハードな仕事の片手間でもそんな翻訳執筆をしてきた山形浩生は結構信用しているんだけど、最近、吉松崇『労働者の味方をやめた左翼政党』という本を紹介している記事がいくつかのツイートでたたかれてバズっていた。主に

〈左翼リベラルは頭でっかちなエリートの変なお題目にすりよって〉と貶すために〈LGBTとか、多くの人の生活水準には関係ない問題にばかり精を出すように〉と差別や人権を多くの人の問題としない山形浩生は差別者だと思いました。知識人の視野の広さ披露の争いに利用するな。

それでこれが山形のブログ

左派政党は、かつては実際の労働者や貧困者の代弁者で、その活動が第二次世界大戦後の格差縮小に大きく貢献してきた。ところが、だんだん左翼リベラルは頭でっかちなエリートの変なお題目にすりよって、地球温暖化とかLGBTとか、多くの人の生活水準には関係ない問題にばかり精を出すようになってしまった。それがいまの格差増大にも大きく影響しているし、ポピュリズムと言われる代物の多くは、実はむしろ左派リベラル政党が底辺層から離れたために起きている政治の流れだ。この本は、それを非常に要領よく述べていて、ぼくは2019年の良書の一つだったと思う。

まず本の紹介の文脈でたたかれるのはヤバい。これは深刻なリテラシーの問題だと思う。おいしいものを食べてほしい。料理が上手な飲食やってる友人にコツをきいたところ、人に食わすものはとにかく塩と油をしっかり、とのことです。それはおいといて読んでみたら確かに山形のあらすじも少し要約としてはピントをはずしている。こんなだったらより面白いだろう。適当にしか読んでないけど著者の主眼は、世界で右と左の政策があべこべになってきて政治課題がエリート化した結果、自国主義的なリーダーが誕生して、日本でいうと実はアベノミクスが格差縮小につながっているんですよ(ほんまかいな)、という点で、ほかはピケティ論文の紹介だったように思う。Twitterまじで大丈夫なのか…

外国人労働者の問題の整理は簡潔で勉強になった。技能に分けて考える必要性とか。いまの日本は単純労働が外国人労働者に奪われるような状況なのかは少し疑問。

留学生への支援をどうするかで今ちょうど怒っている人がたくさんいるけれど、現状で何割かは出稼ぎ留学生っていうか学校へいかずにビザもらうだけもらって目的は日々労働労働で実際卒業もできていないんじゃないかな。そんな出稼ぎ裏目的の留学生にお金はあげられない、なんて政府も言えないしだから3割とかハギレの悪い着地点になったんだろう。そもそも適当な大学が日本に多いのが良くないと思う。サレンダー橋本『くたばれ大学生』はいい漫画。ヨーロッパみたいに全員に金くれてやれ、といってもそのへんの国とは大学の質が違うし、日本は外国人労働者を無条件では入れていないから比較にならないんじゃないか。外国人労働者を受け入れればまた話は変わってくるし全員にフェアになるだろう。問題は大学生や留学生という立場あいまいさだと思う。まあでも、一部にあげるってのはよくないよな。

 

文春の足で稼ぐ取材力はつくづくすごい。山本モナが謹慎明け当日にラブホ駆け込んだ記事は震えたし、指原のメールリークも人情味が伝わってきて戒名にしたいくらい。エッチだってしたのにふざけんなよ居士

リモート日記 タレント本

中古本のアラートを一日中待ち構えているから欲しい本が買える買えるででも限られた喫茶店にしか行けないしもう気分も最悪でこんなときはタレント本を読むほかない。

萩原健一「俺の人生どっかおかしい」。84年初犯本で紙が傷んでて開いたら咳が止まらなくなった。勝手に手前でおかしくなり芸能人生を終えることが許されない昭和の精神性を咳まみれで感じ入る。冒頭2ページ目でこんなかんじで早速気が滅入った。

窓の外に広がる灰色の空を見ていて、変な予感があった。落ち着かない気分といったらいいんだろうか。何かいやな予感がそうさせているような感じだった。冷蔵庫から氷を出し、洗面所で氷を浮かべた冷たい水に顔を突っ込んだ。それでもスッキリしない。〈よし、ハッシでも吸うか〉

以降ずっとこんな調子の話。刺身包丁で不良を追いかけて補導されたとか。ダイケンとチューケンって番長がいるんだって。想定も裏表紙が表のデザインと同じという「どっかおかしい」仕様の家宝モノだ。

タレント本で残念なのはインタビューして撮りっぱなし、というパターン。そんななかヤザワの成り上がりは本人が語りかけてくるような調子であれは最高にいいんだけど。ナオン(女性の意)とかアンフー(ファンの意)とか、いまの硬派なイメージが一瞬で崩壊する、中山ヒデちゃん言葉が羅列されているシンナー文学。エコーチェンバーだけは律儀に何回も繰り返しエコーチェンバー、エコーチェンバーって言うのが南国の野鳥みたいで面白い。ヤザワって今イチローくらい日本国民として偉いもんな。安倍晋三星野源とコラボするよりもプレモルを飲んだほうがいい。確実に偉くなれる。最近ナオト・インティライミが世界一周する本を50円で拾ったものの即家のどこかにやってしまったのでもう一冊買っておけばよかった。先日実家帰ったときテレビでナオト・インティライミを初めて見てしまってうわあとか絶対に学会員だとかケチつけてたら母親が「でもサッカーはうまいんよ」とフォローを入れていたのは本当なのか、中田英寿と混同していないか確かめるためにも探して読みたいところ

 

ミッドナイトゴスペルを見終える。ビジュアルも音楽もかっこよくて、マルチタスク脳(最近AppleMusicききながらYoutubeで別の音楽聴けるようになった、やったぜ)をくすぐる革命的な視聴感覚を与えるアニメだったけど仏教系の対話とは相性が悪すぎ、なのに執拗に数回もそのネタ。薄っぺらさはわざとなのかどうか。奴ら砂漠の宗教の人間は生まれる前の自分、死んだあとも自分自分自分でなかなか大変そうだ。そりゃ精神病んでエロエロ夢占いに走ります。僕らは安倍晋三と心ひとつだから大丈夫…常住不断自民党政権下で元気にやってる。コロナ感染者数が抑えられた理由はBCGだとかハグの習慣が無いからだとかいろいろ言われてるけれど、おそらく三密という言葉がDNAに深く刻まれた信仰心を呼び覚まして修行のスイッチが入ったんじゃないかな。小池百合子の密ですって尼ちゃんみたいだったもんね。そっからみんな必死にリモートしちゃって。パソコンと修行の相性の良さはマハーポーシャが証明済みだ。

 

あとはバクシーシ山下のセックス障害者たちを読み直す。

で、最後にやって来たのが脳みそが腐っている女。何をやってもヘラヘラ笑っているという。晴れてます男にヤラレようが、隣でライト柳田が尻を白菜で拭いていようが全然平気。性格のいい風俗の女って感じですね、気持ちが入っていない明るさです。しかも、自分でも、来ていきなりウンコしちゃうっていう。

こんな美しい日本語が他にありますか。方言でもなんでも約せるDEEPL翻訳にぜひ学習してもらいたいと思って翻訳かけてみたら案外いい線いっている。すごいぞDEEPL翻訳

And the last one to come was a woman with a rotten brain. No matter what he does, he says, he laughs a lot. I don't care if I'm getting laid by a man who is sunny, or if Light Yanagida is wiping my butt with Chinese cabbage next to me. It's a brightness that doesn't have a feeling of the woman of the sex industry with a good character. Plus, he came in and took a dump himself.

 

思い出したこと

成人するまで大西巨人オール巨人が同一人物だと思っていた。芥川賞を獲るまでピース又吉の相方は綾野剛だと思っていた。エンケンショーケンもいっしょでマルチな人だなあと思っていたからショーケンのCD聴いた時はたまげた、あんなに音楽の才能がない人はいないです。今は竹内力と力也の違いがわからない。

リモート日記

仕事がリモートになって読書が捗った。やはり長時間労働マルクス主義の次にクソだ。まあ仕事ないぶん給料が減って生きてるだけでカードが止まりそうなわけですが。

『世界哲学史』(ちくま新書)1-3巻、有史から現代まで8巻まで、毎月これから出るらしい。欧米圏以外にも目配せしつつ、かといって同時代のつながりだけでなく各巻10個くらいのバランスがいい。人的交流があまり無くてもだいたい同じような問いを共有しているのは不思議だし、プラトンアリストテレスの文献の各地への輸入、ヨーロッパへの再輸入されて哲学が加速するのはすごいことだ。神学は哲学とは言えないとある程度切り捨てつつもキリスト教との関わりも充実していて勉強になった。きっと最後まで買うと思う。

近所の大きなゴミが目立つ。皆大掃除してるんだろう、自分もやっと部屋の片付け。シンセの下に挟まっていた高橋源一郎『一億三千万人のための小説教室』(岩波新書)。15年くらい前?この時期の説教具合は岩波のカラーにぴったりだったと思う。今は…   勢いで恋する原発をポチった。驚いたのが、来た変な球を楽しみつつ打ち返すのが小説の醍醐味です、という例にバクシーシ山下『セックス障害者たち』が取り上げられたいた。これは品切れになっているのが惜しいくらい大好きな本。戸川はバク山さんの顔が好きらしいので、勧めて半ば強引に古本を購入させた。ちょっと前までキワキワな人がAVに出ていて、その人たちから迷惑を被り続けている立場にあるバク山さんは当然業界に来る人を人だと思わず、淡々とアクシデントを笑い飛ばしている。なんで笑ってられるんだという感じだけどフェミニストビデ倫との駆け引きも清々しい。名実ともに本当にフラットな人で大好きだ。一度プロレス観戦で近くに座ったときも、周囲の人への配慮を感じた。

シンセは安くて面白いものが増えた。moogのDFAMはパッチングをしなくてもモコモコいなたく面白い音がして、テンポにパッチするといくらでも微妙なコケを作ることができる。あったかい。パターンをすぐに変えるのは難しいから工夫がいるけど次のライブで使いたい。ニューゴリラはどんどん低音に寄ってきた。気づいたら先日のライブはモノシンセ2本だった。星野源がよくつかってるらしいteenage  engineeringのシンセは入院してるときのおもちゃには良かったけど気持ちがぜんぜん燃えなかったしそれを察したのか保証きれた直後に完全に壊れた。確かにだいたいの音は作れるし直感的だけど、だからなんだってかんじ。孤独な世界だと思う。PC環境はなんでも音ができるしあとで変えれるしもう作曲ってよりはプラモ作りに近いんじゃないか。孤独な世界だと思う。

最近の生活は限りなく刑務所に近い。焼身金原ひとみのお父さん金原瑞人の翻訳書はだいたい面白くて見つけたら買うようにしている。『刑務図書館の人びと』はプリズンブッククラブよりも全然よくて驚いた。ユダヤ教への狂信からドロップアウトしたガリガリ看守の著者が口のうまいピンプや本に挟まれたラブレターに共感したり制約下で変な方に洗練されたコミュニケーションを見守る。非常にコロナ下的。遠方の異性に手信号でナンパしたら本命にバレて置き手紙で叱られる充実した日々が羨ましい。

感染症関連の文庫がやたら再発された恩恵で環七でバイクから落とした品切れ本マクニール『疫病と世界史』(中公文庫)を買い戻せてラッキー。ウィルスにやられたりやっつけたりしながら人類は地球上にバイキンマンの如く蔓延った。マンモスを狩まくり焚き火をしまくっていた時から筋金入りのバイキンマンなんだから、地球環境を破壊するのは種としての定めだと信じて心の安寧を得るべきかもしれない。まだみぬ自分の子供とか地球の裏側の人が苦しむのは胸が痛むからできるだけエコ方面に正しく生きたいとは思うけど、それだけのことだな。この本を読んだらダイヤモンドの本は読まなくていい。ここ何年も電車でスーツの男がやたら読んでるけどあれはなんなんだ。

小説はけっこうはずした。大西巨人神聖喜劇はこんな長くてなんか意味あるのか。多和田葉子『雪の練習生』奇妙なクマ一代ものでよかった。フローベール『プブァールとべキュシェ』隠遁した脱サラ実験失敗博士二人のコントを多分野でひたすら見せられ続ける超カルト古典小説だった。自立する分厚さだけど数日で読んだ。園芸にハマり地獄のような庭を作りまくる時期がアツい。こういう男の友情モノに弱いんだよな。

Netflixはミッドナイトゴスペルが面白い。が、悟り系スピの増殖が心配。

 

私のユーモアの師、白玉あもさんがアベノマスクをパンティーにして叩かれていた。心が荒んでいる人が多いと思う。不良品だとか文句を言って使ってない奴よりは全然いいだろう。パンツならカビてても問題ないしね。