リモート日記 散財編

いつのまにかメガネが少し歪んで最近見るものすべてがつまらなく見えそうになる。重度の乱視だから困ってる。最近寝るときもメガネしたまま寝ることが多い。朝起きてメガネを探すための手がかりが絶望的になにもない。生き物として終わってると思う。2020年に神はいない。金持ちになったらメガネを探すためのメガネを部屋のそこら中にたくさん敷き詰めたい。これがロドス島か?飛ぶぞおってかんじで。

 

今日は西荻で古本屋。新規開拓してから高円寺。キューバ文学で面白そうな新刊があった。共和国って出版社のを最近やたら買う。あと分子運動の本、付録に分子運動のリズムCDがついていた。小説はメルカリで古川日出男が一冊届くのを待てずに文庫半額セールだったので彼のを買い漁る。名前がイケイケすぎてずっと読まず嫌いだったけど冷静に考えたらやたら長い長編も面白そうでこれから一通り読もうと思っている。ゼロ年代の彼はメディアミックスの香りがした気がするしそういうの地雷多い時期だった、そもそも阿部和重に夢中だったんだ。『オーガ(ニ)ズム』はいい終わり方をした。思い出すだけで泣けてくる。阿部和重はネットから情報がフラッドして比重を増しつつあった掲示板や動画やらの娯楽の快楽と向き合い相対化して文学を更新してきたように思う。久々に初期の作品も読み返したんだけどロリコン教師が演劇教える純愛物が本当によかった。タイトルは忘れた。

がらがらの電車でオールバックで白シャツ裸足でローファーの青年がプールに行く時に使うようなビニールバッグから徐ろに橋本治を取り出して読んでて驚いた。橋本治は何歳で読んでも別のよさがあるだろう。亡くなって残念。

家に帰って火鍋を食べてから早速、古川日出男『僕たちは歩かない』を風呂で読んだらこれはまさにコロナ文学という奇跡、山手線に乗ってたら26時間ある世界、人の少ない東京に迷い込んでっていう話で、こんなこともあるんだと感動した。

これから『聖家族』か『アラビアの夜の種族』を読もうと思う。

最近、火鍋を上手に作るコツがわかった。マーラージャンは味噌かと思ってたけどあれは油として扱ったほうがいい。最初にマーラージャンを油とニンニクと粒胡椒で炒めて、ちょっと焦がしてから生姜とネギを入れる。すると全部をネギが纏うからそのネギを水に入れて少しの醤油と塩、思ってるより多めに砂糖でぼこぼこ煮る。それから肉野菜。これだけだと辛くて腹を壊しかねないからちょっと豆乳か牛乳を入れると丁度いい…肉は鳥よりも豚バラがいいな。鳥の場合は炒める段階で皮を下にして油を落とすとスープにコクが出るんだけどラーメンに近づいて少しジャンク味になる。

 

岡山の個人古本屋ながいひる通販でキャシー・アッカーの絶版本とトラッシュアップマガジンの映画特集(最新トラッシュムービーだって、大型本でかっこいいその後小さくなって廃刊した気がする)を購入、日本の古本屋とAmazonを見るのに飽きていたから独立したオンラインショップが面白い。ながいひるはやたらアイドル本があり謎の値付。アッカーは93年くらいで訳は山形浩生。すごいエネルギッシュな人だ。

ハードな仕事の片手間でもそんな翻訳執筆をしてきた山形浩生は結構信用しているんだけど、最近、吉松崇『労働者の味方をやめた左翼政党』という本を紹介している記事がいくつかのツイートでたたかれてバズっていた。主に

〈左翼リベラルは頭でっかちなエリートの変なお題目にすりよって〉と貶すために〈LGBTとか、多くの人の生活水準には関係ない問題にばかり精を出すように〉と差別や人権を多くの人の問題としない山形浩生は差別者だと思いました。知識人の視野の広さ披露の争いに利用するな。

それでこれが山形のブログ

左派政党は、かつては実際の労働者や貧困者の代弁者で、その活動が第二次世界大戦後の格差縮小に大きく貢献してきた。ところが、だんだん左翼リベラルは頭でっかちなエリートの変なお題目にすりよって、地球温暖化とかLGBTとか、多くの人の生活水準には関係ない問題にばかり精を出すようになってしまった。それがいまの格差増大にも大きく影響しているし、ポピュリズムと言われる代物の多くは、実はむしろ左派リベラル政党が底辺層から離れたために起きている政治の流れだ。この本は、それを非常に要領よく述べていて、ぼくは2019年の良書の一つだったと思う。

まず本の紹介の文脈でたたかれるのはヤバい。これは深刻なリテラシーの問題だと思う。おいしいものを食べてほしい。料理が上手な飲食やってる友人にコツをきいたところ、人に食わすものはとにかく塩と油をしっかり、とのことです。それはおいといて読んでみたら確かに山形のあらすじも少し要約としてはピントをはずしている。こんなだったらより面白いだろう。適当にしか読んでないけど著者の主眼は、世界で右と左の政策があべこべになってきて政治課題がエリート化した結果、自国主義的なリーダーが誕生して、日本でいうと実はアベノミクスが格差縮小につながっているんですよ(ほんまかいな)、という点で、ほかはピケティ論文の紹介だったように思う。Twitterまじで大丈夫なのか…

外国人労働者の問題の整理は簡潔で勉強になった。技能に分けて考える必要性とか。いまの日本は単純労働が外国人労働者に奪われるような状況なのかは少し疑問。

留学生への支援をどうするかで今ちょうど怒っている人がたくさんいるけれど、現状で何割かは出稼ぎ留学生っていうか学校へいかずにビザもらうだけもらって目的は日々労働労働で実際卒業もできていないんじゃないかな。そんな出稼ぎ裏目的の留学生にお金はあげられない、なんて政府も言えないしだから3割とかハギレの悪い着地点になったんだろう。そもそも適当な大学が日本に多いのが良くないと思う。サレンダー橋本『くたばれ大学生』はいい漫画。ヨーロッパみたいに全員に金くれてやれ、といってもそのへんの国とは大学の質が違うし、日本は外国人労働者を無条件では入れていないから比較にならないんじゃないか。外国人労働者を受け入れればまた話は変わってくるし全員にフェアになるだろう。問題は大学生や留学生という立場あいまいさだと思う。まあでも、一部にあげるってのはよくないよな。

 

文春の足で稼ぐ取材力はつくづくすごい。山本モナが謹慎明け当日にラブホ駆け込んだ記事は震えたし、指原のメールリークも人情味が伝わってきて戒名にしたいくらい。エッチだってしたのにふざけんなよ居士