コーマ大夫 チクショー!

マトリックスが暗示したようにインターネットによって全ての人間がウェブに接続しているのみならず、そこそこのプロセスの半導体でモノやインフラがリンクしたことによる醸し出される一体感で、政体なぞどうでもよくなり共産党アレルギーも払拭されてよかったね

さいたまのミスドで、烏丸御池ベローチェで、突然この世の仕組みを教えてくれた狂人ババアのメモ書きたち、なぜ捨ててしまったのか、そのDMだけが世界の正しさを教えてくれたかもしれないと今となっては思う。ああいう奴らは今何を発信してるのかと案ずるがきっとワクチンでもロシアでもないんだろうそうあってほしい

 

ひとりで休日になると朝昼は何もたべず、それでも平気というモードになるがまあ元気がない。元気がほしくてズームのマルチエフェクターを買った。値上げのスピードがものすごく、これ以上上がるとまずい、てなので高校生が持ってるみたいな銀色のやつ。モノシンセの物悲しさもこれの甘がけで克服だ、しかしローランドの昔のマルチもいいんだよな、B’zとかWANDSでしか聴けない変なコーラス風味のクランチ垂れ流してライブしてもエモいかもわかんない、けどジャズコにそのままつっこむ気持ちよさを超えてはこないと思う。エフェクターかまさないとレスポンスがあからさまに違う、まじでギターをしばいている感覚になれる

 

トップガンマーベリックは拍子抜けするほど前時代の娯楽映画のフォーマットだった。訓練して友情を育み東側のミッションに挑む、それだけ。しかしここまでヒットしてるのは戦争のポジティブな面に飢えているからだと思う、昨今の報道は酷いものばかりだから英雄譚に飢えてるんだと思う。F14に乗る展開はゴルゴ愛読者・エースコンバット世代としてもアツい。

 

インフル病みのペドロフを撮った監督の前作ドンバスはロシア統治による混乱を見渡す先見の明がありつつどうやって撮ったんだという装甲車や爆弾使いでなかなか面白かった。ドキュメンタリータッチでマジックリアリズムのような手法は控えめ

 

出先で本を忘れて禁断症状が起こりブックオフへ、お察しの理由で読まず嫌いだったヴァージニア・ウルフに手を出してしまう。灯台へ は登場人物のヴォイスが垂れ流しで良かった。家父長的な価値観と学術や芸術に燃えるリベラルの社交を通じた冷戦、思ったより開かれた話だった。これだけではウルフの主義主張はわからんなというくらい小説の妙味が濃い

 

クローネンバーグブームが止まらない

スキャナーズはなんとプライム、非常に駄作の能力バトル、なぜプライム

ビデオドロームは今なお輝く風刺と不条理に溢れた傑作で、ハードコアポルノを観ると自分がビデオデッキになってコントロールされてしまう、という設定の甘さゆえの幻覚・夢オチ分岐が多様でお得意のVFXも効果的に生きている。新作も楽しみだ

 

食文化の本はかなり掘ったけれど、緻密になると失われる足で稼いだ洞察というものにやっぱり魅力を感じる。人類学者の石毛直道『食卓の文化史』は醤油とか旨味とか新大陸とか、おいしいトピックがコンパクトにまとまっていて読みやすいのみならず、それらに通底している自らの経験やら思い出が素晴らしい。先達に手がつけられてない異国でいろんな目にあって、そこまで気負わずいろいろ考えているのはすごい。岩波現代文庫はけっこうアツい、というか岩波文庫より賞味期限が長いものが多い気がする、エンデの短編もこっちで出ているのは権威主義バリバリな事情なのか、香ばしくて良い。あと表紙の強度が凄まじく、バイクに乗っても雨に打たれても大丈夫。

 

リチャードパワーズの黄金虫変奏曲は読み終えるまでに障子紙のようなカバーは朽ち果てた。5000円の本にこんな紙使うセンスはどんな理由であれ狂ってると思う。内容はというとDNAとバッハの対位法に類似性を見つけた早熟のサイエンティストが余生でスパコンエンジニアになり、美術史志望の弟子を媒介にして図書館司書と出会う(彼らは科学に造詣は深くとも非科学サイド)、というどう考えても面白くなる話ゆえ書きすぎて主題がボケているところはあるけれど、科学でわかるものとわからないものがどうあって、人間を理解するにはどう生きればいいのか、というテーマはパワーズのおそらく初期ゆえの作家としての気概が溢れており感動モノ

 

恐れていた梅雨が到来、今年は何が腐るのか…