ドM・ナイト・シャマラン

寒すぎる。寒さとSDGs教育が身体の芯まで染み渡り、ひもじさと罪悪感を抱きながら控えめにつけるエアコンの風は虚しい。こんなマインドで生きていけるのか、最近のガキは道徳教育の一環として未来の地球を考えているっぽくて本当にすごい。新聞に投書する変態のみに限らず、どうやら子供にとっては地球を壊さないことは正義らしい。親からの庇護を大なり小なり受けて、将来自らがどのような境遇に置かれるかもわからないのに、そんな時点で環境に配慮できるっていうのは腑に落ちない。産業革命の時点で人間は地球のバイキンだったはずなのに、何を今更というかんじである。ドライに税制や補助金で乗り切ってほしいものだ、じゃないと何してても楽しくないもんな

 

バチェラー4、大変なことになっている。うつ病の原因の8割がバチェラーの視聴なのではないかと思わせる本当にくだらない企画なんだけど、今回は、いや今回だけはたいそう美しい話で、アスファルトに咲く花のようです。

 

※ネタバレあり

 

今回の見どころはガチの成人ヲタクが参加女性のひとりとして出てくるところ。彼女がトリックスターというか、流れを決定づけそこから学ぶことは非常にたくさんあった。

今回のバチェラーは前回のバチェロレッテ(ユッキーナみたいな成金女性がベッキーみたいなバイブスを気の抜けた男性陣に身勝手に振り撒いて終わる)に参加したときの反省を生かして序盤から頑張りまくった(この世で頑張ってはいけないものはただひとつ、恋愛なんですね、その他の森羅万象すべてに対して頑張りが有効であることは10万時間の壁の存在などで説明されている。なかなか希望が持てる明るい話だ。しかしひとりの相手のことを10万時間想い続けたらどうか、もしかしたら情念が5Gにまぎれて電波に載って伝わるかもしれない。いっぽうルックス程度であればいくらでもなんとかなりそうだからそのようなアプローチで恋愛を頑張るのは有効だと思う。小室圭さんの顔面は、カッコよくなりたい、という想いの強さが現れた結果の人相になっていて好きだ。彼には整形手術をしたかどうかというのはあまり問題ではない、結局は彼の努力が叶うのは時間の問題なのだから)結果、いろんな女性とツーショットでここの世界のコードでは真摯なふるまいとなりうるキスをしまくり、それが発覚して顰蹙を買われまくる。そんななかバチェラーがデートしたのはかの成人ヲタクで、彼女の挙動がマジで痛く切ないそれでまず切ない。

待ち焦がれたデートの権利を得たヲタは挙動不審で手探りな頑張りで最後に、どこでもいいからキスをしてくれ、と言って目をつぶり唇を突き出すいっぽう、バチェラーはごっつぁん体質だったこれまでの反省とヲタを弄んだことな罪悪感に耐えきれずキスは頬にすることになるんですね、めちゃくちゃ可愛いのに(多分目が離れているから)!それで案の定、彼女の身を案じて脱落までさせてしまう。

かくして彼女はこの企画に相応な、初恋をゲットして終わるんだけど(心からおめでたい)、そこからの展開が素晴らしい。この波乱で女王様気質のひとりは離脱するものの、バチェラー含め残った者どもは、このゲームが茶番=プレイであることを意識せざるを得ず、ヨゴレ連中という冷静な一体感が各々の間に生まれる。さらにこのプレイで探し当てる将来の結婚相手は、この狂った世界(プーケット)を抜け出す同士というキャラクターも自動的に付与されることになる。こんな本物の信頼関係の確認構築に走る姿はリアリティショーではなかなか見ることができない。その時点で私は最後に残る女性が、バチェラー前に一度飲んだことがある、という経験を唯一有するリョウコさんだと確信したんだけど、やはり最後はそうなる。どれだけ顔がタイプから離れていようと、女性を守りたいという中華思想のそれをもつバチェラーにとっては心動かされる瞬間が少なかろうと、このような展開となってはリョウコさんは無敵だからだ。バチェラーにとってリョウコさんは、このトチ狂ったゲームに出てくるレプリカントではないことは確実で、その特権的な地位は唯一神のような輝きでバチェラーに迫ってきたに違いない。

この企画に出る人々の倫理観どうなってんだと世を憂う気持ちを持ち続けてきたが、今回の一連の予定調和に救われた。バチェラーとはリアル水着スパイアクションロマンスなのだ、という心の整理がつきました、本当にありがとう

 

レミニセンスというサイコSF映画が本当によく、メジャーどころのなかでは抜群に今年イチだと思っていたものの、バチェラーで霞んだ

レミニセンスを見る前にバチェラーの視聴は済ませておくべきだったんだ