ジュリーのフランス語版LPをお土産にもらいました

これまで死ぬほど盛り上がっていたソ連の脅威やらユダヤ陰謀論やら口裂け女やら、大きな物語を共有し得ない我々をよそに、通信コストが限りなく逓減パケホーーーーダイした世は大コンテンツ時代を迎えており、概観してどうなっているかというとエロと暴力しかない。これまでゲームをしていなかった淑女がたもPUBGをしているように思う。信長の野望ってこういう世の中だったような気がする。


そんななか佐藤究『テスカトリポカ』が直木賞サイゾー的世界を地で文学化したような、グローバルな裏稼業のサプライチェーンを展開するやくざものの話。おもしろい。やくざモノとグローバルヒストリーの親和性の高さに気づかされる。もともと不安定な外的要因がちで特に暴対法以降やくざは地下化してそれ自体も副業化せざるを得ず、複数のアイデンティティを有している。小川さやか『その日暮らしの人類学』で説明されているナイジェリアの古着商にとっても近いマインドがある。柔軟に強く生きている人たち。スクエアとヒッピーが文化を相互に盗用してきたように、身近な存在でなくなってもなお我々も完全なるアウトローに憧れ続けているんだろう。六本木のイタ飯屋を経営したニコラが政界に芸能界に地下人脈を広げて暗躍するうそみたいな昭和史、ホワイティングの『東京アンダーワールド』はめちゃくちゃ面白い、ししかも暖簾分けした店は未だ健在らしくて戦後と現在の地続き加減にぞっとする、昭和は何度でも恥ずかしながら帰ってくる。平成がすでに顧みられなくなってきているのも非常にクールだけれども

 

ヤクザ映画の大半はヤクザしていない時間をほとんど描写しない。それは映画程度のプロットの情報量ではそのような筋書きよりも、追う者と追われる者、狩る者と狩られる者が危ういバランスで反転するか、警察やレプリカントといった水と油のような組織との論理の親和性を見出すか、といったあたりの妙が弁証法的に優先される。マッドマックスの肝は往復にある。あれは来た道を律儀に戻るから素晴らしい。先日みたのは韓国映画「悪魔を見た」。テンポは悪いけれど復讐に燃える暴力警官イ・ビョンホンの顔芸は素晴らしいよな。日ハム顔だと思う。イモータン・ジョーも日ハム顔。新庄が整形を重ねた結果日ハムの顔になったことからわかるように、日ハムの経営層は顔を重視しているんだと思う。ゆうちゃんはちょっと顔薄すぎたかな。キャラは最高だった。これからも減りゆく皇族の代わりに国民のオモチャでいてほしい

過去の追われたり追い返してきた人たちをくどくどと紹介するグレゴワール・シャマユー『人間狩り』、マイク・デイヴィスが帯書いていたから買ったけれど、飲み屋で話きいたら30分くらいで終わるような内容が散漫で冗長な羅列されており、つくづくフランス人の書く歴史モノは苦手だと思った。論争史もまとめ考察もないテーマ史は本当にクソだ。最近Twitterでこの本の写真つきの真面目なツイがたくさん目につくけれど、これはどうなんだろうか。思えば読んだ人の感想はあまりなかった気がする、いかんですな

 

最近あまり小説を読む気がしない。あまり面白いのにもあっていない気がする。

モーリタニアン黒塗りの記録』が映画化とともに文庫化された。これは向こうで新刊のときにピーター・バラカンがラジオで紹介していて何年も前だけれど鮮明に覚えていて無性に読みたかった。作者はテロを計画したのかしていないのかわからないけれどとりあえずグアンタナモに勾留されたモーリタニア人で、尋問を受けながら覚えた稚拙な英語で日記を書くんだけど、それが公文書になったときには結構な黒塗りで、バラカンは黒塗り稚拙な文書がセンセーショナル読み物として不思議な魅力がある以上に米軍が「涙する」というところを黒塗りするところの不思議さにあきれていた。グアンタナモでやりたい放題の米軍だってやっぱり泣かれたら困るんだ、と思うと可愛い。

ヒューマントラストシネマで「スイートシングス」と「ベッキー」を観た。スイートシングスはアメリカインディ映画で鉄板のローティーンvsダメな大人という話だけれども監督の息子娘とそのへんのスケーターという素人演技が本当に良かった。
ベッキーはネオナチへの復讐モノ、なんだけど、別に悪役がネオナチでなくても良くて(雑種の犬が嫌いくらいにしかストーリーに落とし込まれていない。あとは財宝の存在を匂わせるくらいで欲求不満に)、ナチ要素薄めで残念。話自体は面白い。シリアスにつくったホームアローン

 

筒井康隆の復刊が続いている。『東海道戦争』を買った。はっとする社会洞察はあるがどれも読後感が近く続けて読むのはキツい…

ラファティベストコレクションの刊行がはじまった。こっちは楽しみ。

 

「選択」という雑誌が面白い。ずっと気になっていたところ新聞解約の弾みで契約してしまった。定期購読しかできない怪しさで、各方面の記者が寄稿していて政界から大企業から海外情勢まで大小様々な噂話、大体が明示されたソースはないがまあまあ本当っぽい、というか本当っぽいことにこそ価値がある、紙媒体でこそのすぐに知るべきではないが前もって知っておいたほうがいいようなタメのあるニュース。本当に面白い、誰か興味あったら教えて下さい。サンプル手配しますので

 

Yama Qという配信Youtuberの家がマジで呪われていてお化けが出ている。ポルターガイストのキレと間に完璧な美しさがある。壁がガンガンいってから風呂のドアがガッ!ってなってから即、壁の音まじりにババアのうめきが始まる。フェイクだったらこんなに綺麗なシーケンスにはならないはず。後に日本のホラーはYama Q前後で区切られることになるだろう。これは福音でしょうね

事故物件住んでみた。#8 2021/7/14深夜 There's a ghost in my house. - YouTube