リモート日記 オブジョイトイ

ライブの準備をせな、ライブの準備をせな、と思いつつ、私はアイルトンセナと化して本屋へと疾った!ハンナ・アレント『政治の約束』を読み始める。やはりかっこいい。古本屋で草稿集を立ち読みしてからというもの、好きになった。緩急の織り交ぜ方は自分自身のために論じているようなところもありつつ対象は多様な人たちに開かれているように思える。多様な意見が響き合う公共空間を尊重する姿勢は大統領選の最中にある今まさに必要とされる態度だと思う。トランプはものすごいバカなのは自明だけれど、だからこそ良くて、だからこそよくない。ちびちび便所で読み進めたいが、さっそく表紙がびりびりになった。ちくま文庫の表紙は薄すぎる

 

近所の本屋は岩波文庫の棚がスカスカになり始めてつぶれそうだ。なんとかなってほしい。町の本屋にしてはハードカバーの品ぞろえはいいし、トランスビュー取次の本が多くて面白いからなくならないでほしい。

 

mubiではマンブルコア界隈を固めて見た。今ではあまり言及されないジャンルだけれど、普遍的な魅力があると思う。数万円のハンディカムで撮ってしまう、主題が荒くてメタ的な、半ば素人の演技しきれていない輝きは美しい瞬間にあふれすぎている。グレタ・カーウィグは本当にかわいい。彼女はスターになってしまったけれど、ジョー・スワンバーグはこのリアリテイの沼から一生抜け出せないんじゃないか。

 

仕事で遅くなる日々が続いて今日はおでん屋に行ったらすごく酔っ払った。数年ぶりに立ち寄ったおでん屋はばーちゃんが一人で接客していていくら食べても冷酒と大びんと合わせたら相変わらずだいたい3000円。本当に食いまくったのに。

 

余暇の時間が限られているうえ仕事の前後は最悪な気分になるので、だいたいの幸福度の見通しがつく。今週はこれくらい新しい本が読めて、これくらいゆっくりできて、これくらい楽しくなるだろうな、楽器で遊ぶとしたらこれくらいの時間で、友達とはまた今週も遊べない、そもそも友達いたっけな、という感じで、平和すぎてウケる。コントロールできないのは酒を飲むときくらいだ。酒の魅力はちょっと一杯のつもりで飲んでいつのまにやら…というところに尽きる。今日は客のババアに声が日テレのアナウンサーにそっくりと言われひとしきり盛り上がった。コロナと落語の話。酒を飲んだら予想していない気分になれるし、思ってもいない話ができる。唯一赦された旅行みたい。一方職場の近くの喫茶店の夜セットはなみなみと注がれたワイン、パスタ、チーズ、カルパス、コーヒーで千円で約束されたキマり方になる、意識が3センチ沈んですごく冷静になれて8時の閉店まで微動だにできないことが約束されるんだ

 

毎日の意味がなくてさして楽しくなくてもそれは悲しいことではない。楽しいことへの強迫観念は現代の病だと思う。罪を償うべきはキリストらではなくて、極東の我々自身なのだから堂々としていればよし