サムイ伝

親知らずが真横に動き出し隣の奥歯を7割がた粉砕、治療したら残りが縄文土器のような形状になって常に舌を切りつけ続けているため何をしていても楽しくない。飯も苦痛。。。親知らずを放置したばかりに両奥歯をほぼ失った哀しみ、いまこそ両親に伝えたい

 

木下古栗『サピエンス前戯』を衝動買い。表紙のパロがあまりにあざとく綺麗に見えたからだ。町田康は絶賛していないようだけど。あと、出版社が同じだからかサピエンス全史の広告が挟んであるのに感動したから。やたらスーツの壮年が読んでるこの手の本が大嫌いであれは思考の整理学と山本直樹の漫画(新刊はまたしても田舎で親戚のガキとセックスに勤しむ話、田舎にどれだけ憧憬があるのか)と一緒に焚書にしたほうがいい、そんなの電車で読むくらいならディズニーツムツムしてたほうがマシなはず。というか読書は流れというものがあって時事的な意義がある本以外は万人向けの本など存在しない。絶対に!そんなのにいちいち騙されるようではミキプルーンの本当の美味しさはわからないと思う。で、サピエンス前戯は自社の性具の展開に悩むサイバーエージェントの社長の自明なモデルが茂木健一郎の自明なモデルに出会って二人でクンニの可能性を熟議するというもので本当にくだらないんだけど読み終わったら茂木健一郎のこと大好きになっちゃった。御用学者茂木健一郎の活動意義を大所高所から総合的、俯瞰的に説明してくれる本当にいい話だった。脳科学者としての挫折からメディア露出に至る過程のみならず脱税の言い訳もしてくれるし。日経電子版のVC系のコラムをずっと読まされている感じ、才能の無駄遣いという言葉があるけれどこれは努力の無駄遣いってかんじだな。また爆弾が出てきた。

サピエンス前戯っていうのは結局茂木健一郎がアハ体験を経て書こうとしている小説のひとつで、こんなふうに現代小説は小説のなかで小説を書くことしか真に自然になれないという切迫感を感じる。これは別に不幸なことではなくてそれだけ物語という存在に大儀が無くなったというだけのことだろう。音楽だって生の演奏から遠ざかった挙句、過剰なフィルターを使って音楽をしているあいだに「音楽をしてますよ」というサインを出し続けなくてはならなくなっている。そのざらつきをヒップホップのマナーが主権をとったからという解釈はあまりに総合的、俯瞰的に貧相

なんで読む本読む本にやたら爆弾が出てくるのかはわからないけど、きっとノワールのアイコン以上の必然性があるんだと思う。

ここまでで全体の3分の1、次の長編は「オナニーサンダーバード藤沢」だってさすがに読むかは迷う。それよりもディズニーツムツムをしたほうが眩しくて歯痛と退屈に効果はありそう。電車でスマホをのぞき込むと最近の携帯ゲームはかなりパチンコの当たりみたいなエフェクトが多用されている。ドラクエでさえスライムが確変を予告するかのような後光を放っていた。ここまでくるとなぜ大金をはらないで済むのか謎で仕方がない。何かに金をかけるとき特有の後頭部がヒリヒリする感覚なしにスマホ画面から視覚を通じて脳をゆさぶりにくるエフェクトだけで気分が高揚するなんて、よほど魂が浄化されてるか抜かれてるかどっちかだ。どっちにしろ不安。表現の自由が脅かされるとゲバラTシャツを着てたという理由で衆議院会館から追い出されたじじいが騒いでいたが、こっちのアプリのほうがよほどディストピアだ、表現のいちいち確変予告化はしんどい。松屋いったらズゴゴゴ…ジャキーン!!ズゴゴゴ…ねぎトッピング!!!ホワ〜〜ねぎ牛丼お待たせしました!というか主義主張に自覚的な奴がゲバラを好きなことが何より哀しすぎるニュース。暴力のアイコンでしかない気もするんだけどね。遠藤ミチロウと変わらん気が

 

で、買ったのを忘れていた松本圭二『詩人調査』を次に読んだ。唯一ぴんとくる現代詩人が書いた小説。前半は仏文研サークル時代になんで同人を出すことになってどう詩を書くことになったのかという告白。悪趣味な赤裸々さとプレーンな文体が相まって面白い。が、それは助走にすぎなくて、後半は前半の同人サークルの兄貴分が数年後アル中になって、宇宙人の公務員からPCを通じてインタビューされるという話。宇宙人は詩人の素質を探るミッションがあって…それ読んだあとに最近の詩『松本非歌』読みはじめたらまた最高だった。フィルムアーカイブの仕事の愚痴が続いたり。全然恥ずかしくないかんじ。やたら兵器に執着があるけど、戦後詩の歪んだ反復ってかんじで笑える。そいえば詩人調査にも爆弾が出てきた…詩って油断してるとすぐ星座の名前とか出てきて笑っちゃうもんな。

 

バクチクの息子の本にはやっぱり爆弾出てくるんだろうか。親子が別角度の髪型で各々笑わせにきてアイコニックすぎて直視できない。

https://www.youtube.com/watch?v=DUzV0-yQr8Y

 

角川全商品が半額キャッシュバックらしく新刊をまとめ買い。読んだらメルカリでさばいたらおつりがくるかも。本橋信弘(村西とおるの評伝を書きまくってきた人、最近は現代日本のマイノリティを題材にしたエスノグラフィーや郷土史を猛烈な勢いで出してて面白い)『ハーフの子供たち』、『サガレン』、『自閉症津軽弁を話さない』を買った。地方選挙のノンフィクションも面白そうだったけど売り切れ。本当にレシート写メるだけで半額戻ってくるのか。頼みます