リモート日記 深夜編

有り金はたいて2ストのバイクを買った。厳密には有り金をはたいていないかもしれない、残高が足りなかったから。そこはXxXXXしてつまんだ。環境破壊が我々の努力義務だ。エコフレンドリーに善人面してる奴、脇が臭いぞ。全員バイクに乗りなさい。

デヴィッド・グレーバーが死んだ。59で。僕らの世代を救う政治学者だと思っていたのに。たぶんこの世を若くして理解しすぎたんだとおもう。わかった奴から死んでいく。うまいからって一年中秋味を飲んでいたトミーもすぐ死んだ。賢すぎたんだな。

早川文庫の新刊『宇宙へ』をいっきに読み終える。ヒューゴー賞ネビュラ賞、あともうひとつとって3冠なんだってすごい。まあ普通に面白いけど、不気味な理詰めで媚びている感がある。主人公が男社会に生きる女というところ(作者は女性だから自然なのかもしれないが)、隕石が落ちてきてそのうち地球が温暖化するから宇宙に出ていかなければならんという設定、ベタな宇宙モノから環境問題へと接続するところ(と思いきや特に深くリンクしていかないのが残念)とか。でも一番気になるのは上・下巻で一貫しておちんちんのことをロケットに見立ててセックスを誘い合うロケット工学者の夫婦なんているかよってこと。寿司屋の大将が嫁に金玉をイナリって呼ばせてるわけがない。金玉は金玉。栗農家は絶対にクリトリスという言葉を発しないだろう。そもそも別に夫婦モノだからっていちいちセックスしなくていいんじゃないか。NASAの黒人女性計算マンの映画のヒットがこの小説の魅力を下支えしていると思う。あの映画はよかったな、ドリームとかいうタイトルの。まあ良いに決まってるんだけど、いい実話だから。それより田舎の宇宙大好きマンたちがペットボトルロケットを高く打ち上げようとして町中が騒ぎになる映画のほうが泣けたなあ。なんかタイトルがラストでアナグラムになってるってわかってぞっとすんだよ。でもタイトル忘れた。すごグラム!!!

あほなことに努力を惜しまない男の話に弱い。

mubiでアメリカのインディー映画をみている。ジョエルポトルクスのAPEは良かった。センスのないコメディアンの日常がちょっと歪んでいく過程を見せつつ、そいつの放火と暴力への執念が通底している。歪むといってもたまにゴリラの着ぐるみが遠くに要所要所で出てきたりおたくにチップスを強引に食わされたりする程度なんだけど。そこがうまいなと思う。それと反してアーロン・カッツのDANCE PARTY, USAの衝撃はすごい。

https://mubi.com/films/dance-party-usa

基本的にバカしか出てこない。こういう白人中産階級の日常モノはマンブルコアっていうジャンルらしい。知らなかった。もてないけどブロックパーティに通い続ける男が気になる女は親友の恋人のツレだから認知されているけれどつれなくて(女は身の硬いバカ、パーティに行きまっくているから)、それでもなんとなく好きだからか、泥酔した14の処女に性的ないたずらをしたという秘密を頼まれてもないのに告白するわけ、バカだから。噂ではノリノリでやったとなってるけどそうではなくて信じてくれ…みたいな謎の理屈で恥の上塗りをする。それで当然キモがられるんだけど(女は身が硬いポーズをとるから、でも平気パーティに行きまくっているから)なんかドライブ行こうなんて女に誘われて、なんもない遠くの駐車場に行って地べた話すだけ。バカ丸出しで。それで改心して当時14の女の子のとこ行くんだけどその女もバカだから一緒にぼーっと膝突き合わせてテレビ見て元気に過ごしているとこ見て男は安心して帰る、んで、なんだかんだも特になく暇のついでに遊園地でデートすることになった男女が最後に割り勘したプリクラの中で軽く何回かキスするだけっていう話なんだけど、そのハンディのズームでプリクラの暖簾越しに撮るキスっていうのがこの世のほかのキスを全部風化させるようなキスなんだ。もうこういうキスしかダメですっていうくらいの。キスについてそのあと小一時間考えて知恵熱が出た。

その映画の何よりの収穫は、バカの理屈につきあってる間に、みんなユッキーナにそっくりだと思えてきて、ゾッとすることができた点。ユッキーナは筋が半端に通っててすごいと思ってたけどその脳内覗けた気になれます、Jリーガーとの不倫バレ写真にJリーグチップスが映り込んでたり、一般人をおばたん呼ばわりでDMで脅迫して以来やめてたインスタすぐにまたやり出して最初の投稿が「友達のあかたん」だって、もうものすごい半端に律儀なバカで、あの一連の流れは心底心細い気持ちにさせられた。しSNS再開したから今後ユッキーナは人類を恐怖のどん底に陥れるかもしれない。でも全然いいと思う。たかしあいしてるって気持ちさえあれば、素敵やん?感動するやん?